MimecastがPendoでエンゲージメントの2桁成長とプロダクト主導の成長(PLG)を実現した方法
企業のシステムの脆弱性を狙うサイバー犯罪者は、常に新たな攻撃経路を模索しているものです。サイバーセキュリティのトップ企業であるMimecastのプラットフォームは、あらゆる攻撃を回避するため、メールシステムやデータの保護、悪意のあるアクティビティの検出、従業員のセキュリティ意識向上のためのトレーニングなどを日々行っています。
しかし、Mimecastの提供するセキュリティ機能をクライアントが最大限活用するためには、進化し続けるセキュリティ機能についてクライアントが認識する必要があります。Mimecastのプロダクトマネジメント担当VPであるJosh Douglas氏と、UXおよびコンテンツ開発マネージャーであるBeatrice Fabris氏は、最近行われたウェビナー「データ駆動型のプロダクトグロース — 成功への3つの道」に参加し、プロダクトデータを活用して意思決定を行い、新しいアイデアを伝え、新機能のプロモーションを行い、顧客にとってより良いプロダクト体験を提供する方法について議論しました。
定着化を促し摩擦を減らす
Mimecastはプロダクトの使用状況を分析するため、約2年前にPendoを導入しました。プロダクト内の摩擦を抑え、サポートチケットを減らし、アップセルとクロスセルの成功を後押しする基盤となっています。
Pendoのアプリ内ガイドを利用して顧客エンゲージメントを強化するというMimecastの最初の試みは、同社の攻撃可視化ダッシュボード(Threat Dashboard)機能のローンチと同じタイミングで行われました。これにより、顧客のシステム上でMimecastのアンチウイルス機能が悪意のある攻撃をブロックしていることが顧客に伝わりました。Douglas氏は、ユーザーがこの機能をしっかり認識し、かつ安心してスムーズにプロダクトの使用を開始して欲しいと考えていました。
Douglas氏のチームはまず、ユーザーに新機能を知ってもらうためにPendoガイドを作成しました。新機能を発表するライトボックスガイドと、ライトボックスの次に表示される概要ビデオ付きのウェルカムガイドです。次に、一連のツールチップガイドで、この機能を使用するための最初の手順を説明しました。ガイドが公開されて最初の5か月で、ユーザーの35%がガイドを使い、Mimecastの顧客の33%がダッシュボードを使い始めました。
次にチームは、同じ方法で、Mimecastユーザーがアカウントを設定する際に使用するConnectアプリのオンボーディングプロセス全体の改善に着手しました。まずPendoの使用状況分析を使ってユーザージャーニーにおける課題を特定し、成功に役立つリソースを提供するガイドを配置しました。
「私たちはあらゆる段階でユーザーとやり取りしています。設定が必要な特定のドメインや、他に推奨できる作業はあるか。当社のプロダクトをうまく活用するために、ほかにお客様がすべきことはあるか。そうしたサポートチームとユーザーとのコミュニケーションの結果が、直接プロダクトにも反映されます」とDouglas氏は言います。
ガイドは、Mimecastがユーザーのフィードバックを収集するプロセスの改善にも役立っています。アプリ内アンケートを介してユーザーはプロダクトのさまざまな点について意見を伝えることができ、同時にMimecastからは機能やコンテンツをプロモーションできます。
MimecastのAPIプログラムに関するフィードバックを回収するガイドには、投票調査の回答が2,600件とコメントが462件寄せられました。また、同社のメールセキュリティプロダクトの分析タブで閲覧したい追加情報に関しては、さらに多くのユーザーが関心を示し、1,000人が詳細をクリックして分析機能について確認しました。どちらのガイドにも、各機能の詳細情報へのリンクが含まれています。
Douglas氏によると、このプロセスはMimecastでは習慣化してきていると言います。そこから得られるインサイトは、プロダクトの改善に使われるだけでなく、セールスチームや市場開拓チームが顧客との議論を深めるための的確な視点を与えます。
クロスセルとアップセルの推進
ガイドは、Mimecastのプラットフォームにおいてクロスセルとアップセルの機会を増やすための重要なツールでもあるとDouglas氏は話します。
サイバーセキュリティの意識向上トレーニングを促進するためにMimecastの全顧客に対して提供したガイドは、28,500回参照され、924回クリックスルーされ、ガイドを介したデモのリクエストは85件以上ありました。その結果、何千ものリードにつながり、トレーニングは満席になりました。
新型コロナウイルスが流行する中、ガイドを利用して同社の一部機能の無料トライアルをプロモーションしたところ、ウェブセキュリティサービス機能で成立した商談の81%、同期とリカバリ機能で成立した商談の50%で、タッチポイントにPendoが含まれていたとDouglas氏は話します。
Pendoを使ってアプリ内でプロモーションする場合と、メールのような従来の手法を使う場合とを比較すると、エンゲージメントに「2桁」の差が生じると、Douglas氏は話します。
サポート案件の削減と社内イネーブルメント
Mimecastのプロダクトチームやエンジニアチームが新機能をリリースするペースは非常に速いため、カスタマーサポートチームが新機能を把握するためのトレーニングが間に合わないことがあります。そこで、新規ユーザーのオンボーディングと同じ手法を使えば、サポートの専門家をすばやく育てられるのではないかとDouglas氏とFabris氏は考えました。
Fabris氏は開発チームにPendoガイドの作成方法を教え、プロダクトのリリース時にPendoガイドを組み込むことにしました。そうすればサポートチームもガイドを使って自動的に新機能に対応できます。「私たちは、当初お客様をターゲットに行っていたサポートを、サポートチームに対しても同様に行っています」とDouglas氏は言います。
次に、Douglas氏とFabris氏は、サポートチームに寄せられる問い合わせを減らすための策を講じました。Pendoアナリティクス、パス、およびファネルを使ってユーザーの課題を特定し、それを基にターゲットを絞ったアプリ内ガイドを展開することでユーザーの操作性を上げたのです。
Pendoの実装と管理
Pendoのような多くの機能を備えた新技術を導入するときには、大概1つずつ機能を慎重に試してみるのではなく、一気にたくさんの機能を試しがちです。しかし、Fabris氏は適切なガバナンスが無いままで始めることには反対です。
そのため、Douglas氏とFabris氏は、先にMimecastの中心的なメールセキュリティアプリケーションにPendoを導入し、その後で他のプロダクトにも導入を広げることにしました。
Fabris氏は、Pendoの機能を活用している各部門からメンバーを集めて、部門横断的なPendoアドボカシーチームも立ち上げました。チームは隔週で会議を開き、Pendoで得たすべての情報がビジネス目標の達成に役立つよう、同社の大規模キャンペーンや目標を見直しているとFabris氏は言います。ほかにも、ほぼ毎日ミーティングを行い、Pendoガイドのコンテンツやガイドの配置場所を指示する役割を担っている部門横断チームもあります。
Pendoの使用リクエストを整理するため、Fabris氏は全部門で使用できるマスターカレンダーを作成しました。これを使ってガイドを適切に使用し、ユーザーにガイドが大量に表示され過ぎないようにしています。また、チームはPendoのアナリティクス機能で得た成功指標に基づいてガイドの作成やターゲット設定をするために、目標達成のためのベストプラクティスに基づいたテンプレートも開発しました。
「声を大にして言いたいのは、Pendoは単なるプロダクトツールではないということです。顧客オペレーションにも、セールスチームやマーケティングチームの業務にも役立っています。どの業務においても、重要なのは明確なコミュニケーションです」とFabris氏は言います。